[142] 秒速(つづき)2009/08/25 00:24:38

ボルトの世界新記録…

ベルリンで開かれている世界陸上で、ジャマイカのウサイン・ボルト選手が100m、200mで世界新記録を更新したのは、皆様ご存知のとおりであります。いやぁ、スゴい

人間の速さ

さて、あまり言われていないのですが、今回のボルト選手の記録はある逆転をもたらしています。以前[118] 秒速では、「そして、いよいよ人間の走る最高速…、と言うと100mかと思いきや、スタート時から最高速に達するまでのロスがあるため、実は平均では200mのが速いのです!」と書いています。このブログを書いたのは2008年3月でした。その後、北京五輪でボルト選手が世界新記録を更新していたのですが、その時の記録も以下のとおりで、平均速度では200mの方が速いのです。


2008年北京オリンピックのボルトの記録です

ところが…

今回のボルトの記録では、以下のとおり、平均速度で100mの方が早くなりました。これを私は勝手に「ボルトのスタート・ダッシュが秀逸で、最高速に達する時間までのロスを少なくすることで、200m後半の疲れによる衰えよりも(スタート・ロスを)小さくした」と思ったのであります。


2009年ベルリン世界陸上のボルトの記録です

もっとも…

過去の記録も調べてみると、1996年にマイケル・ジョンソンが200mで記録した19秒32(2008年3月のブログ時点の記録)は突出していて、その時点での第2位は2007年にタイソン・ゲイが出した19秒62と、0.3秒も差がありました。この第2位の記録と比較すれば、1999年にモーリス・グリーンが100mで9秒79を出していて、こちらの方が平均速度は速かったことになります。また、陸上競技では追い風が秒速2mを越える(以上?)と、参考記録として、新記録とは認められません。そこまで調べられなかったのですが、もしかすると1996年の200mの記録は、かなり追い風だったのかも 違う言い方をすれば、この領域まで来るとむしろ風速とかの条件の要素の方が大きいのかもしれません…「最高時速は42~43km出ている」とのコメントも以前のブログにいただきました。スタートの反応も0.11秒とか言われています。いずれにしても常人の想像を超えた世界であります……