[158] ××点検2010/02/02 23:02:22

鉄道の遅れ

今朝の東京は、雪でした…。それでも、ほとんどの交通機関が乱れず、多少の遅れで運行されていたのは、スゴい さすがに日本です。

と言いつつ、最近、ずっと気になっていることを一つ。今朝も東京メトロの丸の内線で遅れが出ました。昔に比べ、遠くの路線の遅延情報も表示されるのは素晴らしい(もっとも、相互直通運転が進み、とんでもないところの影響が遠くまで及ぶのも事実です)というか、列車の遅延は増えていると思います。

で、その表示なのですが、「ホームドアの点検を行った」というのが遅延の理由でした。私の最近の怒りは、この「××点検」であります。「車両点検」というのも遅れの理由として、頻繁に目にします。しかし、点検というのは「誤りや不良箇所など悪い所がないかと、一か所一か所、検査すること」岩波国語辞典第5版です。そんなもんは終電から始発までの間にやることで、営業運転中の列車の運行を止めて行うのは点検ではないはず。「車両点検」を行う場所は検車区でしょ? なのに、東京メトロのサイトでも堂々と「ホームドア点検のため、一部区間において長時間にわたり列車の運転を見合わせ」と言っています。

故障は故障、トラブルはトラブル

一方、当日の朝日新聞東京本社発行夕刊(4版)には、「ホームドア異常」「トラブル」と掲載されています。「故障のない機械はない」「バグのないソフトウェアやシステムはない」「ミスをしない人間はいない」。だからこそ、故障やトラブルが発生した時は、これを真摯に受けとめ原因を追究することが重要です。

今から四半世紀以上も前…

入社して2年目くらいの私は、ホスト・コンピュータのオペレーションで、しょっちゅうミスをしていました。いつものようにオペ・ミスをした私は、「はいはい、またトラブル報告書を書けばいいんでしょ!」と、うそぶいていました。少し慣れて、自分では一人前のつもりでいた私を怒鳴りつけたのは、それを聞いた先輩社員…。「お前は、そういう姿勢だから、いつまでたってもオペ・ミスを繰り返すんだ。何のために報告書を書くのか、よく考えろ。何故、ミスをしたか、ちゃんと考えて、次にミスしないためにすべきことをやるのが目的だろう!」と…。

なぜ?を忘れた技術者に進歩はない…

誰しもミスをしたいわけじゃない。壊れる機械を作りたいわけじゃない。完璧なシステムを作りたい。でも、それは無理なんです。だからこそ、失敗に対して「なぜ」と素朴に疑問に思い、その原因を突き止めて、繰り返さないような方策を考える。技術・科学はこうして進歩してきたのではないでしょうか…「××点検」などと平気で言い訳をして済ませている交通機関の姿勢は、やがて取り返しのつかない事態を引き起こすと危惧するわけです…